行動制限・身体拘束最小化への取組について
当院では、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、患者さんの人権に十分配慮しながら、隔離・身体拘束等の行動制限の最小化に取り組んでいます。
やむを得ず身体拘束を実施する場合は、法令に基づき適切に実施し、早期解除に向けた検討を行っています。
院内に行動制限最小化委員会を設置し、定期的な検討および見直しを実施しています。
【行動制限最小化基本指針】
第1章 総則
(目的)第1条
この指針は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第36条その他関係法令の趣旨に基づき、当院における隔離、身体拘束その他の行動制限を最小限とし、入院患者の人権の擁護と安全な医療の提供を両立させることを目的とする。
(基本理念)第2条
1 当院は、すべての患者を一人の人間として尊重し、その人格及び人権が最大限尊重されるよう配慮する。
2 行動制限は、患者の尊厳及び主体性を損ないうる行為であることを職員一人ひとりが十分に認識し、安易に正当化されてはならない。
3 当院は、行動制限を行わないことを原則とし、やむを得ず行動制限を実施する場合であっても、その方法、強度及び期間を必要最小限とする。
(適用範囲)第3条
1 本指針は、当院に入院するすべての患者及び当院で勤務するすべての職員に適用する。
2 本指針は、診療報酬における「身体的拘束最小化に関する基準」及び「行動制限最小化に関する基準」に規定する体制整備のための院内統一方針として位置付ける。
第2章 定義及び行動制限の三原則
(定義)第4条
1 本指針において「行動制限」とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第36条に定める行動の制限及び、当該法律に基づく厚生労働大臣の告示に定める行動の制限並びにこれに準ずる行為をいう。
2 行動制限には、次に掲げるものを含む。
一 隔離
二 身体拘束(手足・体幹の抑制、ミトン型手袋その他身体の自由な動きを妨げる用具の使用等)
三 鍵の施錠、面会・電話・外出外泊・持ち物その他日常生活上の行為の制限等
(行動制限の三原則)第5条
行動制限を行う場合は、次の各号に掲げる原則をすべて満たさなければならない。
一 必要最小限の原則
行動制限の対象、方法、強度及び期間は、患者の医療又は保護に欠くことのできない範囲に限り、必要最小限とすること。
二 他の手段優先の原則
声かけ、環境調整、人的配置の工夫、薬物療法その他の非拘束的な手段により、危険の回避を最大限試み、それらによっては危険を回避できない場合の最後の手段として行動制限を用いること。
三 一時性の原則
行動制限はあくまで一時的な措置とし、患者の状態を継続的に観察し、必要性が消失したと判断される時点で直ちに解除すること。
第3章 実施要件及び手続
(実施三要件)第6条
1 隔離及び身体拘束を含む行動制限は、次の各号に掲げる要件をすべて満たす場合に限り、例外的に実施することができる。
一 切迫性
患者本人又は他者の生命又は身体に重大な危険が切迫していること。
二 非代替性
他の治療的又は看護的手段により当該危険を回避することができないこと。
三 一時性
当該危険を回避するため一時的に必要とされる場合であること。
2 前項の要件を満たさない行動制限は実施してはならない。
(医師の指示等)第7条
1 行動制限の実施は、精神保健指定医その他の担当医師が医学的必要性及び法的要件を確認し、指示した場合に限る。
2 緊急やむを得ず医師の直接の指示前に行動制限を開始した場合には、直ちに医師に連絡し、その適否の確認及び継続の要否の判断を受けなければならない。
3 行動制限の継続に当たっては、医師は一定時間ごとに必要性を再評価し、継続の可否を判断する。
(説明と同意)第8条
1 行動制限を実施しようとするときは、その目的、内容、予想される影響及び代替手段の有無について、可能な限り事前に患者本人に説明し、理解と協力を得るよう努める。
2 患者の状態等により本人への十分な説明が困難な場合には、家族等の関係者に対しても説明に努める。
3 説明及び本人・家族の反応は、診療録に記録する。
(観察及びケア)第9条
1 行動制限実施中は、患者の身体的・精神的状態、行動制限部位の状況、二次的障害の有無等について、あらかじめ定めた間隔で観察し、記録する。
2 観察結果は、医師及び看護師等関係職種が共有し、行動制限の継続の要否及び解除のタイミングの検討に用いる。
3 行動制限実施中も、患者の尊厳を損なわないよう、必要な清潔保持、体位変換、飲食及び排泄等の日常生活上の援助を行う。
(解除)第10条
1 行動制限の要件を満たさなくなった場合、又はより軽度の方法で危険の回避が可能となった場合には、直ちに行動制限を解除しなければならない。
2 解除の判断及び時刻は診療録に記録する。
第4章 代替手段及び最小化の取組
(代替手段の活用)第11条
1 職員は、行動制限を回避又は軽減するため、次に掲げる代替的な手段の活用に努める。
一 環境調整(騒音・刺激の軽減、危険物の除去、個室利用等)
二 コミュニケーション及びデエスカレーション技法の活用
三 人的配置の調整及び一時的な見守り・付き添いの強化
四 薬物療法の適正化その他の治療的介入
2 向精神薬その他の薬剤を、行動を抑制する目的で使用する場合は、その必要性、量及び効果を慎重に評価し、漫然とした使用を行ってはならない。
(最小化のための体制)第12条
1 当院は、行動制限の最小化を推進するため、院長を委員長とする「行動制限最小化委員会」(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、精神科医、看護師、薬剤師、公認心理士、精神保健福祉士、医療安全管理者、その他院長が必要と認める者をもって構成する。
3 委員会は、少なくとも月1回開催し、行動制限の実施状況の検証、最小化に向けた改善策の検討、職員研修の企画等を行う。
第5章 記録、台帳及び評価
(診療録記載)第13条
行動制限を実施した場合、担当医師及び関係職員は、診療録に次の事項を記載しなければならない。
一 行動制限の実施に至った臨床的理由及び法的根拠
二 実施前に試みた代替手段の内容及び結果
三 行動制限の内容(方法、部位、強度、開始及び終了の日時)
四 実施中の観察結果及びケアの内容
五 解除の判断根拠
(行動制限台帳)第14条
1 当院は、隔離及び身体拘束その他主要な行動制限の実施状況を一覧的に把握するため、行動制限台帳を整備する。
2 台帳には、患者識別情報、実施日、行動制限の種類及び時間、主な理由等を記録し、病棟ごとに管理する。
3 委員会は、台帳の集計結果を基に、行動制限の傾向分析及び改善策の検討を行う。
(自己点検・評価)第15条
1 当院は、少なくとも年1回、本指針の運用状況及び行動制限最小化の取組状況について自己点検及び評価を行う。
2 前項の結果は、委員会に報告し、必要に応じて本指針その他関連マニュアルの見直しを行う。
第6章 職員研修及び情報提供
(職員研修)第16条
1 当院は、行動制限の最小化及び適正な運用を図るため、全職員を対象とした研修を年2回以上実施する。
2 研修の内容には、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律その他関連法令、行動制限の倫理的課題、デエスカレーション技法、身体拘束のリスク及び代替手段等を含める。
(患者・家族への情報提供)第17条
1 当院は、入院時に交付するしおりその他の文書において、行動制限の考え方、実施要件、手続き及び相談窓口等を、患者及び家族に分かりやすい表現で説明する。
2 当院は、可能な範囲で、本指針の概要を院内掲示又はホームページ等により公表し、透明性の向上に努める。
第7章 附則
(見直し)第18条
1 関連法令、診療報酬又は厚生労働省通知等が改正された場合には、速やかに本指針の内容を見直す。
2 本指針の定期的な見直しは、原則として年1回、委員会が行い、その結果を院長に報告する。
平成27年4月1日
平成29年6月4日改訂
平成30年4月1日改訂
令和5年4月1日改訂
令和6年6月27日改訂
令和7年5月8日改訂
令和8年4月1日改訂

